江戸時代に花開いた「日本髪」は江戸期を通して, 常に変化の連続でした。新しい髪型が生まれ, 古い髪型が廃れていくのは, 今のヘアスタイルの流行と変わりありません。現に「定番」と呼ばれるヘアスタイルは何十年経っても古さを感じない完成された髪型である様に, 日本髪にも定番の髪型が数多く存在します

　日本髪は明治期、大正期にも変化をし続け、昭和期にも江戸期と比べると大きく形もバランスも変化しました。それは、人々の「好み」や「価値観」が変わったことに影響しています

　平成期を経た令和の現在、江戸期, 明治期, 大正期の「再現」として日本髪を結うのではなく, 僕は「今の時代に合った日本髪」を提案しています。今の時代に合った日本髪とは、ヘアカット, ヘアカラー, パーマをはじめとするヘアスタイルの流行やバランスを元にほんの少しですが, 日本髪に「今の時代に合った要素」を反映させます

　その時の時代によって「何」に対して可愛さを感じるのか, かっこよさを感じるのか, 華やかさを感じるのかは変わります。その「何」が何であるかが, 実は大切な「ほんの少しの要素」です。その要素を取り入れ, 丸みを強くしたり, 優しくしたり, 毛流れをまとめたり, 広げたりと変えています

　「浮世絵にあるような日本髪が結いたい！」方へは「その時代を再現した日本髪」として, 精一杯, お支度いたします。

　「日本髪が結いたい！」方は, 今の時代に合った可愛さと華やかさ, かっこよさを反映させた日本髪で時間を過ごすためのお手伝いをさせていただきます
　「日本髪が似合うか不安」と感じる方は, おそらく「以前の日本髪」のイメージが強いのだと思いますので, ぜひ, 僕, 竜也までご相談ください

　２０２０年７月に, 自費出版で『日本髪の髪型』という自著を発表しました。この本では, 「今の時代に合った日本髪」を29種類, 載せています。一般的なロングヘアでも日本髪が結えるよう, 選んだモデルウイッグの髪の長さは, 「３０ｃｍ（部位により３７ｃｍ）」です。「今の時代に合った日本髪」は, あくまでも『今』の時代に生きる人々のための形（シルエット）で, １０年後, ２０年後には「古いシルエットの日本髪」になっている可能性もありますが, 逆に言えば「今だからこそできるシルエット」です。これからも変化を恐れず, 先人から受け継いだ技術と知識を大切にしながら, お客様のために技術の向上に努めてまいります